開業資金を受けたい、融資を受けるには?審査の際に重要なポイント
いざ開業しようと考えた時に自己資金が少なくて開業資金の用意に悩んでいる方、開業資金の融資を受けるにはどうすればよいか迷っている方も多いと思います。この記事では、自己資金が少なくても開業するための資金を用意することが出来る方法として、開業融資について、種類や審査の際に重視すべきポイントを紹介していきます。
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開業に必要な初期費用
まず初めに、開業資金とは具体的にどのようなことに必要になるのか、どれくらいの金額なのかを紹介します。
・登記の為の費用
会社、法人の設立のためには法務局で登記の手続きをしなければなりません。
株式会社の登録免許税は資本金額をもとに1000分の7を掛けた金額で、最低金額は15万円となっています。15万を超えるというのは資本金がおおよそ2000万円以上ですから、中小企業のほとんどは15万円が登録免許税の金額です。
さらに登記のためには定款を用意しなければなりません。定款の認証のためには5万円の手数料が必要です。また、登記、定款の作成などを司法書士に依頼する場合には、司法書士への報酬も用意しなければなりません。
・オフィスの準備費用
オフィスを借りるためには賃料、敷金、保証料、礼金だけでなく場合によってはリフォームや改装工事のため費用が必要になることがあります。オフィスの立地によって初期費用も変化します。
・備品の準備
開業後に使用する備品をそろえる必要があります。パソコン、デスク、椅子、固定電話などです。品質によって値段が変わるので、予算に合うものを選んで購入しましょう。
・広告宣伝費
取引先を作るには自分の会社を宣伝しなければなりません。雑誌や看板に広告を掲載したり、リスティング広告などが利用できます。
しかしただ無差別に色々な広告を出しても宣伝費がかかるだけですので、集客を効率よく出来るような方法を考えて選ぶようにするのが重要です。
・運転資金と資本金
開業直後から利益を上げることはなかなか難しい事です。開業後の三か月程度は現金収入を回収できずとも従業員への給料や商品の仕入れ、設備維持などができるように運転資金を用意しておきましょう。
そして法人の設立には資本金は欠かせません。たとえ資本金がなくても会社の設立自体は可能ですが、資本金額は会社の信用になるので数百万円を目安に用意するのが良いとされています。
・結局開業資金はどれくらい必要なのか
上記の必要な費用を合わせて考えると、企業の大きさや規模によって変化はしますが、大体300万~500万円程度は用意できるのが望ましいです。オフィスや備品などは物によって費用が大きく変わるため、開業を始める時には注意してください。
自己資金では難しい場合の開業資金を得る方法
開業資金を自力で準備できない場合の資金調達の方法を紹介します。
・親族に支援を求める
親族に株主になってもらうなど、周囲の人に支援をしてもらうのも一つの手です。
・金融機関の融資
金融機関の融資を受けて開業資金を作る人も少なくありません。しかし、開業前の融資の場合は審査基準が大変厳しいので、申請の際には事業計画書をしっかり作っておくなどの事前準備を怠らないようにしておきましょう。
・クラウドファンディング
近年ではSNSの発達などもあり、クラウドファンディングで集めた資金で開業するといったことも増加しています。第三者に事業のファンになってもらうことで資金を集めるので、経営者の影響力やカリスマ、事業内容が世間で多くの人に認められら場合などでは銀行や金融機関で融資を受けるよりも資金調達が容易にできる場合もあります。
・エンジェル投資家からの出資
起業してすぐの企業に出資する富裕な個人の投資家のことをエンジェル投資家と言います。投資家は出資する代わりに支援企業の株式を取得します。企業が成長し株価上昇による利益が出ることを目的に投資する方が多いでしょう。経営者の事業に対する考えや熱意、事業内容がエンジェル投資家に認めてもらう事が出来れば出資を受けることが出来るでしょう。
融資の種類
開業前の企業は実績がないため、信用力に欠けると評価されるため、プロパー融資といった民間の金融機関独自の融資は受けることが出来ません。その為一般的には政府系金融機関の制度融資や保証協会の保証を付けて融資を受ける形になります。
ここでは特に開業資金融資でおすすめする「日本政策金融公庫」と「信用保証制度」について解説します。
・日本政策金融公庫の融資制度
まず政府系金融機関である日本政策金融公庫の新規に開業する人向けの融資制度を二つ紹介します。
1、新規開業資金
この資金は新規に事業を始める方、事業を始めてから7年以内の方が利用することが出来ます。新規に事業を始めるため、又は事業開始後に必要とする設備資金および運転資金を使用用途とする場合に利用することが出来ます。
そして融資限度額は7200万円で、運転資金はそのうちの4800万円となっています。
返済期間は設備資金が20年、運転資金が7年以内で据置期間がそのうち2年以内です。
2、新創業融資制度
この制度が利用できる要件は大きく分けて2つです。
1、新規に事業を始めるようとしている方か、開業してからの税務申告を2期終えていない方
起業前で実績が少なくても融資対象となります。しかし、事業計画書や面談による審査を行い、この計画をきちんと遂行する能力があると認められなければ融資を受けられません。事前準備はしっかり行いましょう。
2、創業資金のうち1/10の自己資金
創業資金のうち1/10以上の創業資金が確認できなければ融資を受けることが出来ません。
また、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」に該当すると自己資金要件を満たすとみなされます。
融資限度額は3000万円、うち運転資金は1500万円です。
・信用保証協会保証付融資
これは民間の金融機関の融資を受ける場合に保証を付与することによって、融資先の会社が貸し倒れすることになったとしても金融機関は保証を受けられるという仕組みです。民間金融機関も、保証が付くことによって資金回収をし損ねるという不安が減るため、融資を受けられる可能性が高まります。信用保証協会によって各々内容が違う事がありますが、ここでは東京信用保証協会を例に挙げてみます。
利用対象者以下の三通り
1、現在事業を営んでいない方で、1ヶ月以内に新たに個人で、または2ヶ月以内に新たに法人を設立して都内で創業しようとする具体的な計画を立てている方
2、中小企業者か又は組合であり、創業した日から5年未満の方
3、都内で分社化しようとする具体的な計画を有する会社、または分社して設立された日から5年未満の方
資金用途は設備資金の及び運転資金に限り、融資限度額は3500万円以内ですが上記の対象者のうち1に該当する方の場合は自己資金に2000万円を加えた額の範囲内となります。
返済期間は設備資金が10年以内、運転資金は7年以内で、担保は不要です。ただし、代表取締役社長は原則連帯保証人とされます。
開業資金融資を受けるために必要な書類
日本政策金融公庫の融資制度を例に挙げると、開業資金の融資を受けるのに必要な書類は主に以下の通りです。
・借入申込書
・創業計画書と事業計画書
・資金の見積書
・法人の登記簿謄本や履歴事項全部証明書
・不動産の登記簿謄本
・振興事業に係る資金証明書
事業計画書に関しては絶対必須というものではありませんが、事業についての具体的な見通しや熱意などを伝える物なので、何としても融資を受けたいと思う場合には用意しておくことをお勧めします。
融資を受ける場合のメリット
・金利が固定
開業資金の融資制度の多くは固定金利で借りることが可能です。さらに借入をした時にはすでに返済額が決まっているため、返済計画の見通しを立てやすいことも利点です。
・融資期間が長い
開業融資では長期間借りることが出来ます。措置期間が設定されているものもあるため、開業直後に余裕を持たせた資金繰りが出来ます。
・担保と保証人が不要
保証人や担保が用意できなくても借りることが出来る制度が多くあるため、担保にできる不動産といった資産が無い方でも利用できることは大きなメリットです。
審査に通るためのポイント
金融公庫の融資制度を受ける際に審査で見られるポイントを説明します。
・自己資金金額
自己資金の量は審査基準として見られます。この事業のために今までコツコツとお金をためたと評価されるため、自己資金は多い方が良いでしょう。元々が会社員であった場合、数百万円の開業資金を準備することは難しいかと思いますが、ある程度事前に準備しておきましょう。起業後に困難なことがあったとしてもコツコツと努力が出来る人であるかどうかが見られます。
・開業したい業種の経験度
今までに同じ業種で働いていたかどうかも評価されます。過去に同じ職業を経験していれば、業界の知識や理解、関係者などの人とのつながりを持っているため、円滑に利益を上げられることが可能でしょう。そのため経験者であるかどうかもポイントです。
・事業計画の内容
事業計画の内容を見て返済能力があるかどうか確認されます。具体的な事業の内容や利益の出し方、今後の見通しなどを根拠を交えて記載するのが良いでしょう。融資金はその事業で得た利益で返済します。そのため、事業計画書が抽象的な内容だと返済能力がない、事業の見通しが立てられていないとされるため注意しましょう。
・経営者の信用
経営者の信用情報は企業の信用と同一視されます。経営者がクレジットカードの返済遅延などで信用情報のブラックリストに載っているような場合にはリストから削除された後に融資を受けるようにしましょう。
・担保、保証人の存在
開業融資制度のほとんどは担保や保証人がなくとも融資を受けることが可能です。しかし、担保や保証人がある方が金利が安くなる場合もあります。金融機関側も回収しやすい方に貸す方が良いため、多額の融資を受けることを考えている場合には担保や保証人も視野に入れておくとよいでしょう。
まとめ
開業資金を自己資金だけで用意することが出来なくても、融資を受けることで用意することが出来ます。資金調達の一つの選択肢として考えてみてください。
金利は固定で計画が立てやすく、担保や保証人が用意できなくても借りることが可能です。
審査の際には事業計画書が特に重視されるため、事業計画書の内容が心配な方は融資相談をする前に、まずは税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
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