飲食店を居抜きで開業したい、メリットと注意点
飲食店を開業する際、居抜き物件で開業する、という方法があります。居抜きとは前のテナント主が使っていた設備や内装などがそのまま残されている物件の事です。この記事では居抜きで飲食店を始める際のメリットや注意点、居抜き物件の種類などを紹介していきたいと思います。
飲食店開業における居抜き物件のメリット
居抜き物件の場合は、以前の店舗の設備や備品、什器など残っているものをそのまま利用できるという事が大きな利点です。選ぶ物件によっては、そのまますぐにでも開店することが可能なくらいに設備が揃っているものや、小規模な改築だけで開店に移れるようなものであったりと、開店のための初期費用を抑えることができます。
それだけでなく、以前の店舗の利用客から認識されやすく、開店直後でも集客しやすいという事にもつながっています。
居抜きでの恩恵を受けるのは買い手だけではない
居抜き物件での売買はその物件のオーナーや前のテナントにも利点があります。退去時に設備の撤去工事を行う必要がないため、店舗の明け渡しが確定した場合にはスケルトン物件にするための工事費や退去日までの家賃が発生しないからです。
物件の次の入居者に「造作譲渡」という形で設備や備品を買い取ってもらえれば収入にもなるため、前の入居者にも良い利点といえます。また、居抜き物件はスケルトン物件よりも早くに購入者が現れやすいため、物件オーナーとしても空室期間が短くできることがメリットです。
居抜き物件を探す方法
・インターネット
居抜き物件を取り扱っている専門のサイトを使って物件を探すことが可能です。自分の希望する業種や地域エリアなどで絞り込めばすぐに物件情報を手に入れることが出来るので便利です。まだ出店する地域を決めていない場合でも全国の物件を調べられるという事も特徴の一つです。
・不動産業者
不動産業者に居抜き物件の検索を依頼するという方法もあります。地域の業者ではインターネットに情報が載る前の居抜き物件を小委してもらう事も可能です。不動産業者を経由したうえで次の入居者を探したいと考える者もいるため、インターネットでは探し当てることが出来ないような物件を見つけられることもあります。出店エリアを絞ったうえで多くの物件を知りたいといった場合には不動産業者に物件探しを依頼するのが良いでしょう。
希望する条件に当てはまる居抜き物件を見つけるにはタイミングも大切です。新たに物件が出ていないか、インターネット検索や業者への連絡はこまめに行い確認するとよいでしょう。自分でその地域に実際に足を運び物件を探すのも一つの手です。普段から出店したいという事を知り合いなどに伝えることで、物件売却を考えている人とのつながりができるかもしれません。
物件を探すには多くの方法がありますが、どのような場合でも目に留まった物件があったなら一度は内見することをお勧めします。
物件価格と売買契約での注意
居抜き物件の売買契約の際には事前にしっかりと物件の状況を確認し、何か気になる部分があるならばそこに対しては料金の交渉をしていきましょう。契約時に注意しておきたい所を説明します。
・備品や設備がリース物品ではないか?
造作譲渡をして買い取ったつもりだったものがレンタル品やリース物品であったというトラブルは良くあります。引き継ぎの際にリース物品はすべて回収されてしまうため、冷蔵庫などの大きな設備が亡くなってしまう、レンタル料金も引き継がねばならず支払う必要が生じるなどの問題が多々あります。空調設備や大型の電化製品はリース物品であることが多いため、事前に確認して書類としてまとめておくと良いかもしれません。
・備品の状態と個数
厨房やテーブル、いすの個数などどれくらい譲渡してもらえるのかの確認と書類にまとめておく事は大切です。また、設備が実際に使える物なのか、どれくらい劣化しているのかなど動かして使ってみない事には分からない場合もあります。のちのトラブル回避のためにも使用状態や個数、金額などは契約を締結する前にリストを作成しておいて、契約時にもう一度確認することが重要なポイントになります。
トラブルが起こった場合
一般的には引き渡しの内容など双方の認識のすり合わせと確認ができていればトラブルになることは少ないでしょう。しかし、前の入居者が設備について虚偽の申告をしていたり、不利な事を隠していた、突然契約内容に変更が入ってしまった、等のトラブルがあるかもしれません。事前にトラブルや不備があった場合にどのような処理をするのかを取り決めておくことが重要です。
例えば、引き渡しされた物品の個数が合わない、明らかな故障が判明した場合にはその分の売却額を値引きするなど事前に決めておくのが良いでしょう。物品の状態だけでなく、店舗の清掃状態や片付け、ごみ捨てについても取り決めておくのが良いでしょう。以前の入居者がゴミ出しの費用を惜しんで店内にそのままごみを放置して出ていくケースや、厨房のグリストラップ清掃が不完全で譲渡後に詰まり等で多額の洗浄費や交換費を払う事になる事例もあります。
何かトラブルや思いもよらぬ不備があった場合にどのように対処するのか、しっかりと事前に考えておくのが良いでしょう。
居抜き物件のデメリットと落とし穴
現在の入居者が退去するタイミングに合わせて新規入居者を探す場合には居抜き物件の情報は早期に公開されます。そのため、居抜きの売買条件を詳しく決められていないものや物件情報がはっきりしていないものもあります。自分の希望とあっているかはしっかりとチェックしておきましょう。また、前のテナントの評判が悪かったり、営業が芳しくないなどの問題があった場合、内装などで前の店舗の良くないイメージを顧客に持たれてしまう可能性もあります。
業種の違う居抜き物件を購入した場合、設備が自分の業種では使い勝手が悪く改装しなければならないこともあります。簡単な入れ替えで済めばよいですが、電気、ガス、水道などの位置やレイアウトを変えるとなると費用も大きくなります。自分の持つイメージと違っても店舗のカスタマイズが難しく、思い通りにできないという問題もあります。また備品や設備を引き継ぐため、あとどれくらいで壊れてしまうのかが不明であるというデメリットもあります。厨房設備などは使用していた年数や、メンテナンス状況などを事前に聞いておくのがおすすめです。
最後に
居抜き物件の利点は第一に回転時の初期費用を安くできるという点です。しかし、内装や設備が合わないといった問題が生じる可能性もあります。しっかりとメリット、デメリットを理解したうえで自分の希望に沿う物件を見つけていくのが良いでしょう。
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