飲食店の開業資金・運転資金の融資

飲食店を経営していく中で経営困難に陥る大きな問題となるのは運転資金の不足でしょう。キャッシュレス化が進み、飲食店では資金繰りの重要性が増してくると思われます。この記事では、資金繰りが難しくなる原因と対策、対処法を踏まえた上で運転資金の融資についてご紹介します。

運転資金の不足、資金繰りが危うくなる要因

運転資金が不足する要因は様々です。

1、キャッシュフローの理解と把握不足

第一に考えられるのはお金の流れの理解が不足していることです。手元に入ってくる金と出ていく金の比率で、出ていく方が多いと手元の資金がどんどん減っていき、資金ショートになってしまいます。また、黒字倒産と言われますが利益が出ていたとしても入金と支払いのタイミングが合わない場合にも資金ショートを起こしてしまいます。これらの事態に陥ることを回避するためには資金繰り表を作成することが重要になります。金銭の出入りする時期と量を目に見える形にする事で、どのような所で資金繰りが難しくなっているのかの原因を見極めやすくなり、売上がどこまで減ると経営が困難になるのかのボーダーラインが分かるようになります。過去のデータや実績をもとにして資金繰り表を作っておけば、今後運転資金の不足が発生するより先に資金調達に動く、といった対応が出来るようになります。飲食店の場合、様々な影響を受け売り上げの変動が激しいため、運転資金は一般的には3か月や4か月分以上確保しておくことが良いでしょう。

2、入金と出費の時期が合わない

最近までは飲食店では現金収入が一般的だったため、あまりキャッシュフローを重要視することがなかった方もいると思います。しかしキャッシュレス化が推し進められている近年、入金のタイミングが1か月ずれてしまうなどの時間差が資金繰りにおいての問題になっています。例えば支払いが入金よりも早いタイミングで行われる場合では資金繰りが厳しくなりがちです。よって、入金は早く、出勤は可能な限り遅くすることが重要になっています。 入金までの時間差を考えなければなりませんが、最近は入金の間隔が今までよりも短いサービスも出ているので確認しておくとよいでしょう。仕入れを前払いや都度払いにしている場合には後払いで一括にする、またはカード決済にしてもらうなど支払いを遅くする方法も存在していますが、取引先と支払い方法の相談や交渉をしなければならない為関係性が悪くならないように注意しましょう。

3、売り上げの見通しが甘い

売り上げが思ったより伸びず資金繰りの悪化により店を閉めるというのは飲食店ではよく見られます。開店直後の話題性や、何かしらのきっかけでブームが巻き起こりにぎわっていたとしても、今後ずっとそれが続くかどうかは分かりません。そして、常連客による売り上げでけいえいを保っていたとしても別の店に客足が流れてしまう事も十分にあり得ます。 客足が減っている理由を解明して対策を講じなければどんどん売上は減少してしまいます。新規の客を取り込む事、リピーターを維持していくことの二つを考えていかなければなりません。

4、コストが大きすぎる

飲食店におけるコストの代表は原価(food)、人件費(labor)、家賃(rent)の3つです。それぞれの頭文字にちなんで、まとめてFLRコストと呼ばれます。売り上げの中に占めるそれぞれの割合を表したものはFLR利率と呼ばれており、飲食店では原価が30%以内、人件費が20~30%、家賃が10~20%の、合計して売り上げの70%以内が適正コストの目安だといわれています。これよりも割合が大きいと利益率が低く、資金繰りが難しくなっていく要因になりやすいです。 飲食店業はほかの業種と比べても特に、たとえ売り上げが無かったとしても人件費や家賃が固定費として発生してしまうため、容易に赤字に陥ってしまいやすいものです。コストを適正範囲に収めることが経営するにあたって重要ですが、人件費や材料費はサービスや設備の質にも多大な影響を与えます。過度なコスト削減で顧客を手放してしまう事がないように、コストバランスの調整は十分に気を付けて行いましょう。

5、事業拡大が失敗した

計画の見通しが不十分な状態で店舗数を増やしたり、店舗移転などで売り上げの拡大を狙おうとしたものの売り上げが伸びずに失敗する、といったことが資金繰りの悪化の要因として挙げられます。 事業の拡大には莫大な資金を使う事になります。そのため資金繰りが難しい状況に陥ってしまい倒産するというケースは多々あります。資金調達をしたならその返済計画は無理のない範囲で、事業拡大を考えている際は事前に慎重に計画を立てましょう。

融資方法の種類

金融機関で利用可能な融資は「プロパー融資」、「信用保証協会による保証付き融資」の2つの種類があります。それぞれの特徴を紹介します。

・プロパー融資

プロパー融資は一般的には銀行融資のことを言います。金融機関と借入者が直接契約するという融資方法です。メリットは金利が低く、借入上限が高い事です。デメリットは銀行が貸したお金の回収不能を避けるために審査基準が厳しい事です。実績のない新規開業した企業や経営状況が悪化しているといった信用度の低い企業では融資を断られてしまうことが多いでしょう。

・信用保証協会による保証付き融資

これは、小規模な事業者や中小企業が融資を受ける際に保証をしてくれる信用保証協会という公的機関に、借主が融資の返済が不可能になった場合に代わりに返済してもらうという制度です。信用保証協会は全国各都道府県に設置されています。この融資方法では金融機関の貸し倒れするリスクがなくなるので、プロパー融資よりも審査に通る確率が高いです。一般的に借入額の0.5~2%程度の保証料を支払わなければなりませんが、小規模事業者が確実に融資を受けるためには信用保証協会を通して融資を受けるのが良いでしょう。

飲食店事業の運転資金の融資が受けられる金融機関記

飲食店事業における運転資金の融資を行っている金融機関は以下の4つが主です。それぞれの違いや特徴を紹介します。自分に合った金融機関を選ぶようにしましょう。

・政府系金融機関

日本政策金融公庫、商工組合中央金庫といった政府が出資している金融機関です。日本政策金融公庫は利益を上げる事ではなく小規模事業者を支援することを目的とした金融機関であるため、融資制度にも様々な種類があります。一般貸付の場合、融資限度額は4800万円、返済期間は7年で金利は無担保だと2.06%~、担保がある場合はさらに金利は低くなります。日本政策金融公庫は無担保無保証、低い金利で借入が可能である事が大きな利点です。経営悪化の場合の融資制度なども設けられています。審査には書類や面談など重視されるものが多いため、事前にしっかり準備しておく必要があります。商工組合中央金庫にも個人事業主や小規模事業者に対する融資制度がありますが、こちらは商工組合中央金庫の株主になっている商工中金株主団体という中小企業団体とその構成員のみが対象となるため注意が必要です。

・銀行

地方銀行やメガバンクなどでも運転資金の融資は行われています。民間の金融機関はそれぞれ限度額や返済期間などが違うため、事前に調べておくのが良いでしょう。メリットとしては金利が低い借入の実績として今後の企業の信用度に繋がるという事です。しかし、銀行のプロパー融資は審査がとても厳しいため、事業が傾いている時では審査に通ることは難しいでしょう。基本的には信用保証協会の保証付融資の利用が主になります。メガ版kの場合では大口融資には強いですが、個人事業主での借入は厳しいといわれています。

・信用金庫

信用金庫とは、地域の復興や活性化、繁栄のために相互扶助で運営されている金融機関のことです。利益を上げることを第一の目的としていない為個人事業主、小規模事業者にも積極的な融資を行っています。審査状況や信用金庫によって金利や限度額は変わります。地元、地域の商店や中小企業の援助を積極的に行っています。金利は高めになっているので返済の負担は銀行などよりは大きくなりますが、小規模の飲食店でも融資を受けやすいというメリットがあります。融資限度額が銀行よりも低いため、融資を希望する金額で融資を受けられない可能性があるといったデメリットがあります。

・ノンバンク

一般的に消費者金融、信販会社などと呼ばれる融資のみを事業として取り扱っているところです。限度額は500~1000万円、返済期間は大体1か月から5年程度となっています。無担保無保証で即日借入が可能な事もあり、何よりも審査スピードが速い事が利点です。しかし、金利が2.0~18.0%ととても高く、中には法律の上限で金利を設定しているノンバンクもあるため返済計画はしっかり立てて借り入れましょう。ほかの金融機関では融資の審査に通らなかった、つなぎでもすぐに資金が必要といった場合での選択肢となります。

融資の際の必要書類と抑えておくべきポイント

融資を受けるには事前準備を入念に行うことが重要です。

必要書類

一般的に融資を申請する際に必要とされる書類は以下の7種です。金融機関にもよるため、他に必要な物があればチェックしておきましょう。 ・事業計画書 ・資金使途を明記した資料 ・登記簿謄本 ・損益計算書 ・貸借対照表 ・試算表 ・資金繰り表

審査時に押さえておくポイント

金融機関はその飲食店の返済能力があるかどうかを判断します。事業計画書は具体的に作成し、今後自分の事業で返済が可能である事を示す必要があります。資金用途、借用を希望する理由やどのようにして返済をしていくのかなど、明確に伝えることが審査を通過できる可能性を上げるためのポイントです。それだけでなく、金融機関は店舗の現在の資産額や借入金といったものも審査の基準にいれて判断するので決算報告書や試算表も重要です。資金繰りが悪化して融資を求める飲食店の中にはキャッシュフローの理解があまりできていないまま経営しているといったことが多々あります。必要書類の用意だけでなく、面談で質問されても答えることが出来るように自身で把握しておきましょう。

融資以外での資金繰りの改善方法

融資を受ける以外にも店舗の資金繰りを改善する方法は存在しています。最後に、飲食店での資金繰りの悪化を緩和できる効果的な方法を紹介します。

・借入金の返済期間変更

金融機関に借用した資金の返済で資金繰りが悪化している場合には返済期間をリスケジュールできないか交渉するという手があります。現在の資金繰りを考えた上で無理のない返済計画を立て直すことで資金繰りに余裕を持たせることが出来る可能性があります。しかし、リスケすると新規に融資を受けにくくなることもあります。注意しましょう。

・助成金や補助金

国や地方の自治体が実施している助成金や補助金を申請するのも資金繰り改善の方法です。これらは返済しなくてもよいため、受給要件を満たしているなら是非積極的に活用していきましょう。助成金や補助金は融資などよりは金額が少ないため、資金全てを補填できるとは限りません。また、受給されるまでに少し時間がかかることも心に留めておいてください。

・ファクタリング

ファクタリングとは、売掛債権を売却することで入金が予定されている日よりも先に現金化が出来るという仕組みです。手数料は発生しますが、今すぐに資金が必要である場合には方法の一つとして考えてみましょう。

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