飲食店の「居抜き店舗」とはなんなのか

当記事をご覧になっているということは現在既に飲食店の運営をされている、もしくは飲食店の開店を検討されていることでしょう。その際に「居抜き店舗」という言葉を目にすることも多いはず。当記事では「居抜き店舗」について解説していきます。

居抜き店舗とは

そもそも「居抜き店舗」とはどういった店舗なのでしょうか。簡単に一言でまとめると前の利用者が使っていた状態のまま、もしくは一部を引き継いで利用できる店舗です。例としてあげるとすれば電気機器や空調設備が残っている、やテーブルや椅子などの家具類が残っているなどですね。店舗運営を検討されているのであれば、スケルトン物件のような1から全てを作り上げるよりも居抜き物件の方が開店までの時間・金銭のコストを大幅に抑える事が可能になってきます。 こういった、物件の前利用者の造作・設備・什器などが残っており、早期開業が望める状態で貸出もしくは売買されている物件であることが「居抜き店舗」の特徴といえるでしょう。

居抜き店舗のメリットは

上記まででお伝えした通り、メリットはなんと言っても「時間と投資金額を短縮・減少出来る」ことにあるでしょう。仮にスケルトン物件で開業する場合と比較してみましょう。大まかな流れは以下の通りです。 ①物件探し ②候補物件の内見 ③物件契約の締結 ④インフラ設備や内装・外装などの開業までの工事や機器の設置作業など ⑤開業 ④の工事や設置作業は業者との打合せや機器類の購入でも大幅な時間が発生してきますし、当然ずれ込む事なども出てくる可能性があります。金額の面でも一番かかる部分でもありますし、何より対応する労力も大きいです。ですが居抜き店舗であればこの項目が大幅に減少し時間も短期にする事が十分に可能です。

どうして居抜き店舗が存在するのか

居抜き店舗という形式がとられる以前は、「スケルトン化」という作業が必要でした。これは物件を借りた際に、借りる前の状態に戻し何も無い状態に戻す、原状回復工事をしてから解約するのが契約で決められるのが一般的であった為です。ところが、徐々に設備などを1から全て用意しなくてはならないという理由で好立地以外では借主が現れないまま長期化してしまうケースが出てきたのです。そこでメリットが大きい居抜き物件が登場し、貸主にとっても次の借主を見つけやすい為居抜き店舗が増加していきました。

居抜き店舗の事前準備

ここまででメリットをお伝えしましたが、同時に気を付けておかないとそのメリットがトラブルに変わる可能性もあります。事前にある程度の把握はしておきましょう。 ①信頼出来る居抜き仲介業者を見つけておく 近年、居抜き専門の仲介不動産会社も増えています。中にはまだ他の仲介業者が知らない未公開物件などを教えてくれる所もありますが、実はただ早期の契約を進めたいだけの場合もありますので、信頼出来る業者を見つけておきましょう。 ②設備を引き継ぐ際の譲渡料はいくらなのか 無償で譲ってもらえる可能性もありますが、基本的には造作譲渡料が発生し、条件によって金額は様々です。 ③設備を引き継ぐ場合は状態をきちんと把握しておく 設備が古く使えなかったり、リース品で引き継げなかった、排水溝が詰まっていて補修費用が発生するなどの可能性があります。

居抜き店舗の開業でのケーススタディ

飲食店と一口に言っても色々な種類の業態がありますし、開業~開業後も人によって直面する問題は様々でしょう。2つのケースをご紹介しますので対応出来るようにしておきましょう。 ①ラーメン屋を開業したい 人気の業態の一つです。味も勿論大事ですが、臭いの処理、ガス容量と空調能力がきちんと対応出来る店舗物件を用意しましょう。また、お客様の回転数が売り上げに繋がる重要なポイントなので用意する人材は余裕を持たせておくことをお勧めします。 ②脱サラ開業での失敗例 個人で店を開く為に、営業方針の相談相手もおらず、お客様本位での営業が出来ていない為に失敗するケースがあります。税理士や会計士などに相談しつつ進めていくことをお勧めします。また、店舗改築にこだわりを持たせすぎて開業前で準備金のほとんどを使ってしまうケースも。店舗運営が安定するまではある程度の余裕は残しておく事も重要です。

居抜き店舗の造作譲渡は

一般的に造作譲渡とは、店舗物件に不随する内装や設備などを譲渡、もしくは売買する事を意味します。以下に造作譲渡に関する基本ルールを記載しますので把握しておきましょう。 ①造作譲渡料の本質は賃借権を手に入れる権利金要素の一つ 形式上としては内装・設備に対する売買になっていますが、優良居抜き物件を優先的に手に入れる為の権利金である一面が強いです。優良居抜き物件であれば競合相手も多くいますので、賃料があがるよりもという判断の元、その物件を譲ってもらうお礼として造作譲渡料を多く払うという背景があります。 ②どれが造作譲渡対象か把握しておく 物によってはリース品であったり、引継ぎでは無く他者に売り払う予定だったりもしますので、物件の引き渡し前にきちんと細かくしておきましょう。また、譲渡対象であったとしても十分に使える状態の物かも確認が必要です。細かくリスト化しておくことで後々のトラブルも最小に抑えられることでしょう。

居抜き店舗の造作や設備を活用するためには

ある程度、自分が開業を予定している業態の設備が整った居抜き店舗物件を準備できたとしても最低限の改修などが必要になってきます。見た目だけ整っていても普段の営業にもし支障が出るようでは意味がありません。以下の点に注意しましょう。 ①造作譲渡の説明の中で挙げましたが、リース品では無いのか。きちんと動作するのか。 ②過去に排水に関する問題が無かったか、飲食店特有の臭いや煙でトラブルになった事が無かったかをきちんと確認しておきましょう。場合によっては対策が必要になります。 ③不要な細かい調度品など、不要品が引き渡し時に残されていないように取り決めをしておく。またグリストラップなどの清掃も事前に済ませておくことも決めておきましょう。引き渡し時にゴミの処理をしなくてはならなくなり、処分費用が発生してしまうというケースも。 ④営業時の動線がスムーズになるように配置を。今後の営業全てに直結する部分です。商品の収納や調理、配膳から片付けが淀みなく行えるのは非常に重要です。また、清掃しやすい環境にしておくことで害虫問題も未然に防ぐ事が出来ます。 ⑤ガス設備は十分な容量があるのか確認しておきましょう。席数や人材を十分に用意出来たとしても使えるコンロの数が少なければお客様の回転数、ひいては売り上げに関わります。足りない場合は工事は出来るのか、費用や期間はなど把握しておきましょう。

居抜き店舗の閉店の時には

開店前に、閉店の事を考える方は少ないでしょう。しかし事前に把握しておかずにいざ退店となった際に不利な契約を結んでしまっており、退店時の費用がかさんでしまったというケースも多々あります。 ①居抜きでの解約が出来るように事前に交渉しておくと吉。契約を結んだ時には居抜きで物件を引き継いだが、退店時にはスケルトン化が必要で原状回復工事費用がかかってしまう事があります。 ②設備の手入れは普段からこまめにしておきましょう。ご自身の店舗を居抜きで売却する際に設備が古くてもきちんと清掃されており十分に今後も使えるものであれば買い手がつきやすくなるだけで無く、売却価格をあげられる可能性もあります。また、リース品は嫌がられる傾向にあるため、残債が無いようにしておきましょう。 ③リース品の残債を把握しておきましょう。もし自分が退店される時にリース残債がある場合には清算しておくのが一般的です。事前にリース会社にリースの所有権を移譲出来るか、もしくは毎月のリース料を満額まで払う事が出来るように交渉して清算時期を早めるのも一つの手段でしょう。 ④退店時には届け出が必要な行政機関が複数あります。保健所、警察署、消防署、税務署、電気・ガス・水道などが主な機関になります。また物件のオーナーやお客様にも解約・閉店の申告(報告)は必要になります。それぞれ届け出・申告の適切なタイミングは異なりますのできちんと把握しておきましょう。

居抜き店舗で起こり得るトラブルとは

ここまでもいくつか注意しておくべきポイントを挙げてきましたが、もう少し詳しく、起こる可能性のあるトラブルを説明していきます。事前に情報を手に入れるだけで回避出来る事も多々あります。 ①排水管が詰まっていた。というパターンが非常に多いです。グリストラップなどの清掃をきちんとされていない物件や、特にしばらく居抜きの状態のままになっていて水分が蒸発し、詰まってしまった物件などに多いです。営業を開始する前に排水管の高圧洗浄を行えば未然に防げる部分になります。 ②引き渡し日に行って見れば、ゴミが沢山放置されたまま。というケースがあります。これは前の利用者が「居抜きは何もしなくてもそのまま引き渡してOKな取引だ」と認識していることがあるからです。事前に引き渡しの状態に関しても文書を作成し細かく決めておくことで回避出来ます。 ③過去にその物件でトラブルは起きていたか、です。つい先日まで普通に営業していたとしても過去にトラブルがあり、未対処であった場合には次はご自身がその対処に当たらねばなりません。例えば煙の処理が上手くいっておらず未解決のまま引継ぎ、いきなり近隣の方が「今はあなたがこの店の責任者なのだから、排気処理の工事をすべきだ」といわれる可能性が考えられます。事前にこういったことは無かったか確認しておきましょう。

店舗運営での「まさか」のトラブル

居抜き店舗に限らず、飲食店を運営していく上でまさかのトラブルが発生することがあります。どんなに気を付けていてもトラブルは発生してしまう事もありますので、落ち着いて対処出来るようにしておきましょう。 ①店の中に害虫が発生したということは往々にしてあるでしょう。普段からこまめな掃除をしておく事でその確率を下げる事は可能です。もしお客様の目につく事や料理に入ってしまった場合は問題に繋がりますので、居抜き店舗の場合は開業前に隅々までチェックし、侵入経路や発生場所を潰しておきましょう。 ②食中毒の疑いがかかっている。この問題もきちんとした接客をしていれば可能性は下げられます。ただし、実際に自分のお店が原因での食中毒かどうか判明するまでは真摯な対応をする事が求められるでしょう。事前に食中毒マニュアルを作成しておき、落ち着いて対応出来るようにしておきましょう。 ③火災や台風などの自然災害。これも、もし発生した場合は安全第一で対応すべきですが、その後の損失を最小限にするために、事前の保険加入を強くお勧めします。どの災害でもまずは火災保険に加入し、そこからオプションなどで自分に最適なプランにしていくのが良いでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。居抜き店舗を運営していくにあたって注意すべき点を説明させて頂きましたが、実際にスケルトン物件で1からスタートするのも良いですし、居抜き店舗が初期コストを大幅に減らせるのも確かな事実です。きちんとした仲介業者や工事業者、信頼できる相談相手を見つけて良い飲食店経営をお祈りしております。

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